長年世界中の冒険家や登山家達に愛用さているアウトドアストーブの一つと言えばMSR(Mountain Safety Research)のウィスパーライト。
そんなMSRのウィスパーライトにはウィスパーライトインターナショナルと日本未発売モデルとしてウィスパーライトユニバーサルというモデルが存在します。
このウィスパーライトユニバーサル、ずっと日本では正規販売されていませんでした。(※日本のガス検定の関係により)
それがついに日本正規品として2022年秋に発売になるそうです!
正式リリースも決まったこのウィスパーライトユニバーサル、ガスも使えるという事で気になっている人も多いと思います。
※筆者は並行輸入品を2012年に入手し現在まで使用してきました。
発売決定という事で今回改めてこのMSRのWhisperLite Universal(ウィパーライトユニバーサル)をレビューしたいと思います!
購入検討中の方は是非参考にしてみてください☆
注意
今回紹介する製品は2012年製の並行輸入品になります。2022年国内品と仕様が異なる可能性があります。
本記事ではマニュアルには記載の無い使用方法も一部紹介していますが、推奨しているものではありません。
取り扱いは、仕組み、危険性を十分理解した上で慎重に行ってください。使用に関する一切はすべて自己責任となります。
MSR WhisperLite(ウィスパーライト)とは?
ウィスパーライトはMSR(Mountain Safety Research)製の屋外用の分離型ストーブ。
テントや登山用品でも有名なMSRは分離型ストーブを世界に先駆けて開発したブランドです。
「ウィスパー」の名の通りMSRのドラゴンフライ等、他のストーブと比べると燃焼音はとても静か。
ウィスパーライトは大きく分けると3種類。
名 称 | 使 用 燃 料 | 発売年 |
---|---|---|
ウィスパーライト | ホワイトガソリン | 1982年 |
ウィスパーライトインターナショナル | ホワイトガソリン・無鉛ガソリン・灯油 | 1988年 |
ウィスパーライトユニバーサル | ホワイトガソリン・無鉛ガソリン・灯油・ガス(OD缶) | 2012年 |
無鉛ガソリンとは?
かつては有鉛ガソリンというアルキル鉛が入ったガソリンが販売されていた時代もありましたが、現在はレギュラー、ハイオクとも全て無鉛ガソリンとなっています。
ガソリンスタンドで売られているレギュラーガソリンを使用すればOKです。
※一応メーカーではホワイトガソリンの使用を推奨しています。
1.WhisperLite(ウィスパーライト)
1982年に登場したウィスパーライト。
ホワイトガソリン専用のストーブで火力も強く燃焼音も静か、軽量コンパクトでベストセラーになりました。
2.WhisperLite International(ウィスパーライトインターナショナル)
1988年にはホワイトガソリンに加え灯油も使用できるウィスパーライトインターナショナルが登場。
のちに無鉛ガソリンも使用できるようになり世界中の冒険家、登山家達に支持されました。
3.WhisperLite Universal(ウィスパーライトユニバーサル)
そして2012年にはウィスパーライトユニバーサルが登場し、それまでの液体燃料に加えてガスカートリッジも使用できるハイブリッドなマルチストーブとなりました。
製品仕様
製品を細かく見ていきます。
使用に伴い煤汚れも付いているので購入当時の写真を交えて紹介します。
付属品
付属品は以下の通り。
細かい補修部品等もあるので紛失に注意しましょう。
- ストーブ本体
- ポンプユニット
- ガスカートリッジスタンド
- カートリッジ燃料(ガス)アダプター
- 液体燃料アダプター
- UK(灯油)、UG(ガソリン)、UC(ガス) ジェット 各×1
- ウインドスクリーン
- 熱反射板
- ジェット&ケーブルツール
- ポンプカップオイル
- 交換用Oリング×3
- 取扱説明書(日本語、英語、フランス語)各×1
- スタッフサック
本体の構造は至ってシンプル。
余計な装飾やカバー等は一切ありません。
2012年製の並行輸入品ですが日本語説明書も入っています。
液体燃料使用時はこのポンプをMSRのボトル(別売り)に取り付け使用します。
こちらが使用燃料により交換するジェット。
UC(ガス)、UK(灯油)、UG(ガソリン)の3種類となります。
小さい部品ですが無くすと使えなくなってしまうので保管に気を付けましょう。
ガスも使えるユニバーサルにはガス用アダプターと、ガスカートリッジスタンドも付属します。
ウインドスクリーンと熱反射板は簡易的な薄いアルミ製。
何度も使用していると折り目に穴が開いたり裂けやすいので他の物を用意した方がいいでしょう。
スペック・詳細
寸法 | 幅(約17㎝)×高さ(約9㎝) |
本体重量 | 本体のみ 約260g(ポンプ、燃料ボトル除く) |
使用燃料 | ホワイトガソリン、無鉛ガソリン、灯油、ガス(イソプロ) |
沸騰時間(水1.0L) | ホワイトガソリン(3分30秒)、ガス(3分45秒)、灯油(4分24秒) |
生産国 | アメリカ(シアトル) |
本体は3本のゴトクが折りたたまれた状態で収納してあります。
滑り止めのギザギザも付いています。
3本のステンレス製の脚は重いものを載せてもしっかり安定。
本体下部にはアルミ製のミキサーチューブが見えます。
内部に見える金色のパーツがジェット(ガス用UCジェット)です。
さらにその下にプレヒート用のプライミングカップとウィッグが取り付けられています。
液体燃料使用時はプライミングカップに溜めた燃料に火を着けてプレヒートします。
購入時、使用前の画像です。
こちらはガス用のアダプター(OD缶)
調節バルブが付いています。
※メーカー指定はMSRのイソプロです。
黒い二股パーツはガスの液出し使用時のスタンドです。
ガス用アダプターの上に取付け、ひっくり返して使用します。
液出しとは?
液体のガスは気化する際に熱を奪ってしまうので、ガス缶自体がどんどん冷えてしまいます。
ガス缶が冷えると内圧も低下し火力も弱くなります。
そこで逆さまにし液体のままジェネレータチューブへ送りそこで気化させることで内圧低下を抑え高火力を維持出来ます。
特に気温の低い時や標高の高い場所での使用時に威力を発揮します。
実際の使用
ウィスパーライトユニバーサルは燃料ごとにアダプターとジェットを交換して使います。
実際にガスと液体燃料で使用してみます。
液体燃料(灯油)
今回は灯油で使用してみます。
ガソリンも灯油もジェットの種類以外は手順は同じです。
ポンプの準備
燃料ボトルに灯油を入れポンプユニットを取付けます。
燃料ボトルのサイズは数種類ありますが、いずれも規定量が決められているので外側に表示のある満タンライン以下で使用します。
燃料を入れたらコントロールバルブが閉まっていることを確認しポンピングして加圧します。
回数の目安は
- 満タンの場合 20~30回
- 半分の場合 30~40回
となります。
赤いつまみのコントロールバルブは閉めておきます。
ジェットの交換
次にジェネレーターチューブに取り付けられているジェットを灯油用(UK)ジェットに交換します。
ジェネレーターを抜く際、少し引っかかる時もありますが無理に引き出して曲げない様に注意です。
左右に少しカタカタと動かしなが抜くと抜けやすいです。
次に付属のツールを使いジェットをUK(灯油)用に交換します。
ジェットを外すと出てくるシェーカーニードル。
これは本体をカタカタと振る事でこのニードルが上下し、ジェット内をクリーニングしてくれるという物。
ジェットの交換時に無くしやすいので注意しましょう。
次に灯油用UKジェットを取り付けます。
シェーカーニードルを忘れずに戻してからジェットを付けましょう。
ジェットの交換が出来たら、ジェネレーターチューブ、ウィッグ、プライミングカップを戻します。
アダプターの交換
次はガスアダプターから燃料アダプターに交換します。
黒いアダプターを手で押さえながら、薄い六角ナットを緩めます。
外れたら液体燃料用アダプターを取り付けます。
アダプターを外した時に見えるワイヤーはクリーニングケーブルです。
このケーブルを往復させパイプ内を擦ってクリーニングする時に使います。
出しにくいときはペンチ等で引き出します。
燃料ボトルの接続
アダプターを取り付けたら最後に燃料ボトルと接続します。
プレヒート → 点火
コントロールバルブを少し開くとジェットから燃料があふれ出てきます。
この燃料がプライミングカップに溜まったらバルブを閉じ火を着けてプレヒートを行います。
ここで、マニュアルでは使用する燃料(灯油、ガソリン)でプレヒートするのですが、ストーブの下が煤だらけになってしまいます。
荷物が増えるデメリットはありますが代りにアルコールでプレヒートする方法もあります。
煤で真っ黒になります。
アルコールでプレヒートする場合もコントロールバルブを開きジェットから燃料が滲むまで燃料を送っておきます。
いよいよプライミングカップの燃料に火を着けプレヒート開始です。
火はだんだんと大きくなります。
最初はかなり焦りますが、火はこのくらいの大きさになります。
しばらくすると火が小さく落ち着いてきて、シッシュとジェットから気化した燃料が出て来る音がします。
この状態でコントロールバルブをゆっくり開いていくとバーナーヘッドから青い炎が出てきて点火成功です。
バルブを開くポイント
バルブを開くのが早い→気化しない燃料に火が着いて炎上します!
バルブを開くのが遅い→着火せずに消えてしまいます。
※シュッシュと音がしたら火が消える前にバルブを開きます。
音が聞こえなかった場合はプレヒート不足です、冷めてからもう一度やり直しになります。
さらにちょっと邪道ですがバーナーで直接炙ってプレヒートして点火する事も出来ます。
この方法だと煤はほとんど付きません。
※正規の取り扱い方法ではありません。
消火
火を消す際はコントロールバルブを閉めて消火します。
消火した後はボトルと本体を取り外しますが、この時燃料パイプ内に残った灯油がダラダラと出てきます。
この対策として燃料ボトルを反転させて消火する方法もあります。
反転消火の手順
① 燃焼している状態で燃料ボトルをくるっと反転させます。
② ボトル内の燃料パイプが液面より上がり、燃料ではなく空気のみが排出されます
③ 燃料パイプ内の燃料が空気に押し出され燃料がほとんど残ることなく燃焼されます。
④ 最後にバルブを閉めて完了です。
こうする事で片付けの際、手や収納袋が燃料で汚れるのを軽減してくれます。
この方法もマニュアルには記載の無い方法です。
仕組みをよく理解の上、自己責任で行ってください。
ガスでの使用(MSRイソプロ)
次にウィスパーライトユニバーサルで皆さんも一番気になっていると思う使用法、ガスを使ってみます。
やはりこのガスが使える事で候補に挙がったという人が多いんじゃないかと思います。
ジェット、アダプターの交換
出荷状態でガス用のアダプターとガス用UCジェットの組み合わせとなっています。
液体燃料用が取り付けてある場合は先ほどと同じように交換します。
ジェットは左の一番大きなUCジェットに交換します。
ジェットも専用ツールでしっかりと取り付けます。
ガス缶の取り付け
ガスの場合はこの後にガス缶を取り付けるだけです。
通常のOD缶と全く同じです。
使用するガスはMSRのISOPRO(イソプロ)です。
点火
ガスの点火方法は簡単ですが本体にはイグナイターや点火装置は付いていなので、マッチやライター等で点火します。
通常の使用と液体供給モード(液出し)と2種類の使用方法があります。
通常モード
- バーナーヘッドの端の方に、マッチまたはライターをかざします。
- アジャスターバルブを開いて(3/4回転)燃料を出し点火します。
- アジャスターバルブを調整して安定した青い炎にします。
続いて液出しでの使用です。
液体供給モード(液出し)
- ガスカートリッジスタンドを燃料アダプターの上に取り付けます。
- バーナーヘッドの端の方に、マッチまたはライターをかざします。
- アジャスターバルブを開いて(3/4回転)燃料を出し点火します。
- 30秒ほど燃焼させストーブを十分余熱します。
- ガスカートリッジをひっくり返します。
- アジャスターバルブを調整し、安定した青い炎に調整します。
ガスカートリッジをひっくり返した途端に、火力が一気に上がります!
この液出しで使うことで気温が低い時でも安定したパワーが期待できます。
ガスでの使用は迷うこともなくとても簡単。
ポンピングしてプレヒートして、、等の液体燃料のような手間もなく誰でもすぐに使うことができますよ。
当時の並行輸入品は日本のガス検定を取得していません。
並行輸入品でガスの使用を推奨するものではありませんのであくまで手順の参考としてください。
おわりに
今回紹介したMSRのWhisperLite Universal(ウィパーライトユニバーサル)。
ウィスパーライトが長年培ってきた寒冷地や高山での安定した火力の信頼感に加え、ガスも使えるようになった事でファミリーキャンプやちょっとしたソロでの使用にもサッと使えるちょうどいい手軽さも加わりました。
これから液体燃料ストーブに挑戦しようと思っている人にもオススメです☆
極寒の雪山からファミリーキャンプまでコレ一台で様々なニーズにこたえてくれるマルチなストーブ。
WhisperLite Universalならすべて解決してくれるかもしれません!
最後までありがとうございました!